######### 田舎の生活

住人

住人のほとんどがお年寄りですが、ここのお年寄りは皆元気でパワーがあります。80歳の一人暮らしのおばあちゃんが、曲がった腰で草刈り機(刈り払い機)を振り回しているのには驚かされました。
緩やかな山の起伏の所々に家が点在し、きれいな小川が流れていて、穏やかな顔をしたお年寄りがゆったりとした足取りで散歩しているような、のどかな処です。

私たちのように他の土地から移住してきた若い人も10世帯程います。やはり米や野菜を作ったり養鶏をしていて、田舎暮らしを楽しんでいます。 皆それぞれに忙しい毎日なのでしょっちゅう逢えるわけではありませんが、たまに集まって持ち寄りパーティなんかをしたりします。

買い物

週に3回、軽トラックに生鮮食料品を積んだ移動販売車が、演歌をならしてやってきます。自分で町まで買い物に出られないお年寄りや車を持っていない人は、もっぱらそこで買い物をしています。 私たちは10日に一度ほど、町まで行きまとめ買いをしてきます。まとめて用事を足そうとすると田辺まで出かけることになり往復2時間半かかります。

つき合い

この地区ではお寺の掃除や神社のお世話役、区内清掃、お祭りの当番など結構近所の人たちとの共同作業もあります。
お祭りやお正月などに行われる「餅まき」は、子供からお年寄りまで参加し、かなりフィーバーします。数人が高いところから餅を放り、それを争って拾うだけなのですが、おもしろくて、地元のおばさん達は何と餅まき用のポケットの沢山付いたエプロンまで持っているのです。

教育

学校は小中学生あわせて20人ほどで、複式学級になっています。もしかして生徒の数よりも教職員の数のほうが多いかもしれません。自宅から通学の出来る高校は近所に無いので、下宿するか学校の寮に入らなければなりません。

3ヶ月に一度、「はまゆう号」というマイクロバスの移動図書館がやってきます。私も子供達も楽しみにしていおり、毎回10冊以上借りては、雨降りの日や、夜の時間があるときに読んでいます。

子供の遊び

近所の I さんの田んぼは、4月になると赤紫のじゅうたんを敷きつめたようなレンゲのお花畑になります。もちろんそこは、子供達の格好の遊び場になります。「レンゲいっぱいつんだよ! おうちにかざってね!!」「おかあさん! おかあさん! きょうはレンゲばたけですべりだいごっこをしたよ。すごくおもしろいんだよ。 レンゲのおはなのなかに、ドスンっておちるんだよ!」と興奮して嬉しそうに話をしてくれます。

夏の子供達の楽しみは、何といっても川遊びです。石の下に隠れているカニを見つけて捕まえたり、網で小さな魚をすくったり、何時間でも遊んでいます。わざわざ遠くの海や遊園地に連れて行かなくても十分満足しています。
畑も子供にとってはワンダーランド。カブトムシやクワガタムシ、バッタを捕まえたり、目ざとく桑の実を見つけてはその場で食べています。

お盆

普段は静かなこの集落も、お盆には都会で暮らす子供や孫達が遊びに来るので、人口はいっきに何倍にもなり、一年で一番にぎやかになります。けれど少しだけ困ったこともあります。夜の10時を過ぎているのに音の大きな打ち上げ花火をしたり、水をじゃんじゃん使ってお盆が終わったとたんに断水なんてこともあります。 ここで日常生活を送っている人々がいることも少しは考えてほしいものです。

公共のサービス

ゴミの収集も月に2回しかありません。同じ「すさみ町」でも町では週に3回も収集があるのに、同じ税金を払っていながら公的サービスにこんな差があるってどういうこと? 生ゴミはEM菌でボカシて畑に埋められるけれど、子供が小さいときは紙オムツがたまって大変でした。長いときは3週間分の紙オムツが家の中で幅を利かせて、もう一軒家が必要な状態でした。

消防署からは30分かかるので地元には消防団が組織されており、ポンプ車が1台あります。
診療所には週に一回づつ、内科と外科の先生がそれぞれ町から診療に来てくれます。

ライフライン

夏場は落雷による停電がよくあります。台風による停電では平成10年9月に丸2日間、電気無しの生活をしました。冷蔵庫、冷凍庫の中身はすべてパー!! オール電化住宅なのでお湯も沸かせないから風呂無し、煮炊きはカセットコンロ、もちろん明かりはロウソク。

ここの町水道は谷水を利用した簡易水道なので、渇水時には断水も。でも夏場以外はほとんど塩素が入っていないので、そのまま飲んでもおいしいです。夫は手造りビールを仕込むのにも使っています。料理用にミネラルウォーターを買ってくる必要はありません。

山道

以前、自転車でこのあたりをツーリングした東京の人の記事を、雑誌で読んだことがあります。その中に「車もろくに通らないところに立派な道があるなんて税金の無駄遣いだ」といった内容の事が書かれていました。 町まで出る30分の道中、片側一車線の区間が1/3程あります。でも2/3は対向車とはすれちがえない狭い曲がりくねった山道です。大型車がきたら道幅の広いところまで必死の思いでバックしなくてはなりません。

でもこの道は私たちにとっての生活道なのです。 朝晩通勤する人もいれば、病院に通うお年寄りや、小さな子供を連れて買い物に行くお母さん達も通る道なのです。高齢者が安心して運転できるよう、少しでも走りやすい道路にしてほしいと切に願います。

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